冬の時代-新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染が拡大し、社会不安が広まっている。私たち技術コンサルタントにとっては冬の時代である。私自身もセミナー講師や顧客との面談予定などが中止または延期になり、新規案件の依頼も全く来なくなった。 先の見えない長いトンネルに入った気分だ。それは、世の中の多くの事業者にとっても同様だろう。多くの企業や個人事業主が、倒産、廃業の瀬戸際に立たされている。私の場合、自宅を事務所としているので、事務所を維持するための経費は通信費と光熱費、それから所属している各種団体の年会費程度である。店舗の賃貸料や従業員の給料を支払わなければならない事業者と比べれば、はるかに恵まれた状況だろう。
安倍首相の緊急事態宣言の会見を聞いたが、物足りなさを感じた。それは、どのようにして新型コロナウィルス問題を収束させるかのシナリオが示されなかったからだ。外出の自粛は、医療崩壊を防ぐ手段として必要なことは理解できる。人の移動を減らすことで感染の増加スピードを鈍らせる効果はあるだろうが、この問題を終息させることはできない。 外出自粛の効果で新たな感染者数を低減できたとしても、少し自粛の程度を弱めればまた感染者数は増加してしまうだろう。したがって自粛を継続していかなければならなくなる。 日本人の大半が感染するか、治療薬やワクチンが開発されるまで外出自粛をしなければならないかもしれない。画期的な治療薬やワクチンが開発され量産されるようになるまでには長い時間がかかる。
人類は、当面新型コロナウイルスと共存していくしかないのだろう。医療崩壊を起こさず、重篤患者の発生と致死率を抑えられるならば、インフルエンザと同じように通常の経済活動を行いながら新型コロナウイルスと共存していくということだ。それには、今試されているさまざまな既存の治療薬の効果が認められ治療方法として取り入れられること、感染症に対する医療体制の再構築が行われること、感染者の検査体制が整備されること、私たち自身が感染予防に努めることなどさまざまな「条件」がついて初めて可能になるのかもしれない。
普通の生活に戻る為の「条件」とはどのようなことなのか。外出を控える以外に私たちは何をしなければならないのか。断片的な情報としてはマスコミを通じていろいろ伝えられているが、それらを取りまとめて方針を出すのが政府の役目のはずだ。それが緊急事態宣言で示されなかったのが残念だった。
見通しのない忍耐は耐え難いものだ。春が来ることが分かっているから長く厳しい冬にも耐えられるのだ。