電子写真技術と機能部品

1.はじめに

電子写真という言葉を聞いたことがない人もいるかもしれませんが、複写機やレーザープリンターと言えばよく知っていると思います。複写機やレーザープリンターは、電子写真技術を用いて画像を形成します。電子写真技術は、光学、電磁気学、粉体工学、熱学、機械工学、表面技術、材料技術等様々な学問、技術が組合わされて成立しています。電子写真技術によって画像を形成する工程を電子写真プロセスと呼びます。複写機、レーザープリンター等、電子写真プロセスを利用して画像を形成する装置を総称して電子写真製品あるいは電子写真装置と呼びます。

ここでは、電子写真プロセスによる画像形成のしくみと、電子写真プロセスに用いられる機能性部品について説明致します。

2.画像が形成される仕組み(電子写真プロセス)

図1にレーザープリンターの透視図を示しました。電子写真プロセスでは感光ドラムを中心として画像形成が行われます。感光ドラムはアルミ二ウム製のパイプの表面に感光体をコーティングしたものです。感光体としては、酸化亜鉛、セレン、Cds、α-シリコン等様々な材料がありますが、現在はOPC(Organic Photo Conductor)が主流になっています。OPCは有機感光体のことで、光が当たると光の当たった部分の電荷を消失させる働きがあります。


電子写真プロセスは、大まかに記述すると、図2に示す様に①帯電→➁露光→③現像→④転写→⑤定着という工程から成っています


次に電子写真プロセスによる画像形成のしくみと機能部品の役割を工程ごとに説明していきます。実際の電子写真装置では各工程について様々な方式があるので一例として理解して下さい。

2-1 帯電

感光ドラム表面を一様にマイナスの静電気あるいはプラスの静電気を帯びさせる工程です。ここでは、感光ドラム表面をマイナスに帯電させる方式を前提として説明を続けます。図3では、帯電ローラによる帯電を示しました。帯電ローラは、導電性のゴム材等からなり、感光ドラムとの間で電圧を印加することで、帯電ローラと感光体の接触部近傍で微小放電が起こり、感光ドラム表面が帯電します。図3では、途中からが帯電が始まっているように見えますが、実際には連続的に帯電が行われます。


2-2
 露光

帯電した感光ドラム表面にレーザー光で画像を描きます。感光ドラム表面のレーザー光が当たった部分だけ電荷が消失して、レーザー光が当たっていない部分は、マイナスの静電気が残ります。結果的に、目では見えない静電気で描かれた画像が感光ドラム表面に形成されることになります。この静電気の画像のことを静電潜像と呼びます。


2-3
 現像

感光ドラム表面の静電気が消えた部分にトナーを付着させ、目に見える像を形成する工程です。

トナーは、感光ドラム表面に接近するまでにあらかじめ摩擦してマイナスの静電気帯びさせておきます。トナーが感光体に近づくと、感光ドラム表面の光の当たっていない部分は、マイナスに帯電しているため、同極性のトナーは付着せず、レーザー光によって静電気が消去した部分にのみトナーが付着します。トナーの帯電、感光ドラム近傍までのトナー搬送、感光ドラム表面へのトナーの移送の役目をするのが、現像ローラです。現像ローラには、磁性トナーに用いるマグネットローラと、電気的な作用だけで現像を行う導電性ゴム製の現像ローラがあります。


2-4 転写 

感光ドラムに形成されたトナー画像を用紙に移し取る工程です。

用紙の下から導電性スポンジ製の転写ローラでトナーと反対極性であるプラスの電気をかけてトナーを電気的に用紙上に引きつけます。トナーは静電気の力で用紙上に付着します。


2-5
 定着

静電気的に付着したトナーを用紙に固定させる工程です。

定着ローラの内部にハロゲンヒーターが内蔵されており、ハロゲンヒーターで内部から定着ローラを加熱することにより、ローラ表面温度が上昇して熱でトナーを溶かします。更に加圧ローラとの間で圧力をかけることにより軟化したトナーは用紙の繊維間に侵入します。定着部から用紙が離れると、トナーが冷却・固化して用紙に定着されます。尚、軟化したトナーは粘着性があるため、定着ローラ表面はフッ素樹脂が被覆されています。また、加圧ローラは耐熱性のあるシリコーンゴムが被覆され、その表面にフッ素樹脂が被覆されています。


3.まとめ

モノクロレーザープリンターやモノクロ複写機等のモノクロ電子写真装置による印字のしくみについて説明しましたが、カラー電子写真装置も基本的には同じしくみで画像形成が行われます。但し、カラー電子写真装置は、4色のトナーを用いるため画像形成部分が4つあり、トナーの色合わせの機構等が付くために機構的には複雑になります。

今回は、電子写真装置による画像形成のしくみについておおまかに説明致しましたが、今後は表面技術と電子写真技術の関わりについて少し詳しく説明していきたいと思います。