非粘着コーティングの種類と特徴

1.はじめに

 非粘着コーティングは、食品や糊、インキ、生ゴム、樹脂などの粘着性物質の付着を防止する目的で施すコーティングのことを指します。非粘着コーティングの用途は、身近なところでは炊飯器の内釜、フライパンなどの調理器具やレーザープリンターなどの事務機器部品に、産業分野では食品工業、包装機器、ゴム・樹脂金型、輸送機器、印刷用部品などに用いられています。

 非粘着性塗料という言葉もありますが、非粘着性塗料は塗装することによって被塗物の表面を非粘着性にする塗料そのものを指します。一方、非粘着性コーティングは下地処理を含めた表面被覆技術全体を指す場合が多いようです。

 ここでは、非粘着コーティングの種類と性質について易しく解説します。

2.非粘着コーティングの考え方

 非粘着コーティングは、二つの方法を組み合わせて成立させているものが多いようです。

 ①表面自由エネルギーが低い材料をコーティング剤を用い、粘着物質と表面に働く力を小さくする、

 ②表面に凹凸を形成し、粘着性物質と表面の接触面積を小さくする。

 ①の表面自由エネルギーの低い材料として、フッ素樹脂シリコーンなどが挙げられます。これらコーティング膜は通常平滑面を形成して用いられますが、コーティング剤の中に粗さ付与材を入れて、コーティング後の表面に凹凸を形成させるものもあります。また、凹凸の形成と表面コーティングの工程を分けて加工する方法もあります。具体的には、下地処理としてセラミック溶射などを行い、表面を凹凸にしてその上に表面自由エネルギーの低い材料をコーティングする手法です。

 図1に主な非粘着コーティングを分類しました。

 図2に平滑面に粘着性物質が付着した場合と凹凸面に粘着性物質が付着した場合の表面と粘着性物質の接触状態を示しました。一般に粘着性物質の粘弾性が高く表面に濡れにくい場合、粘着性物質と表面の接触面積は低減して表面と粘着性物質との間の付着力は小さくなります。

3.フッ素樹脂コーティング

 フッ素樹脂は、分子間に働く引力が非常に小さく、フッ素樹脂表面と粘着性物質との間に働く引力も小さくなります。このため、粘着性物質が付着力が他の物質よりも低くなります。代表的なフッ素樹脂として、パーフロロ系のPTFE(Polytetrafluoroethylene)、PFA(Perfluoro alkoxy alkane)、FEP(Perfluoro ethylene propylene copolymer)などがあります。これらフッ素樹脂は非粘着性だけではなく、撥水・撥油性、耐熱性、耐候性、電気絶縁性など優れた性質を持っています。これらフッ素樹脂は加工温度が高い為、被塗物の材質として耐熱性の高い材料が要求されます。

4.シリコーンコーティング

 シリコーンは主骨格にシロキサン結合-Si-O-を持ち、側鎖に有機基を持つポリマーの総称です。側鎖の有機基がメチル基の場合、メチル基が表面に出て表面自由エネルギーが低くなり、粘着性物質との付着力が小さくなります。シリコーン系材料は、シリコーン成分が粘着性物質に移行する場合があるので用途によっては注意する必要があります。

5.まとめ

 非粘着コーティングにおける非粘着性の効果は、粘着性物質の性質に依存することが大きく、粘着性物質が変わると同じような非粘着効果が得られない場合があります。粘着性物質の性質に応じて適切な非粘着性コーティングを選択することが必要になります。